「風速◯メートル」とはどれくらい?風の強さの目安と影響

この記事では、風の強さの目安を具体的な数値やイメージとともに紹介し、私たちの生活への影響や対策についても解説します。
「風の強さ」とは

「平均風速」と「瞬間風速」
日本の場合、単位は秒速(m/s)を使って表しますが、毎秒を省略してm(メートル)と言うこともあります。
なお、風は常に強弱をつけながら不規則に変動していて、これを「風の息」と呼びます。このため、「風速」を測る際には、平均と瞬間をそれぞれ考える必要があります。
・平均風速または風速
10分間平均風速のことを「平均風速」といいます。単に「風速」という時も、この平均風速のことを表します。
・瞬間風速
風の観測は、0.25秒間隔で行っています。サンプリング間隔の問題などもあるため、「瞬間」といっても、実際には非常に短い時間内の平均としています。
風速計の測定値を3秒間で平均した値(=測定値12個の平均値)を「瞬間風速」といいます。
瞬間風速は、風速(平均風速)の1.5倍くらいになります。ただし、大気の状態が不安定なときには風速の3倍以上になることもあります。このため、「風速◯m/s」と聞いた時には、瞬間的にその1.5~3倍以上の強さの風が吹く可能性がある点に注意してください。
風の強さと目安の一覧

風の強さの表現と目安
気象庁では、風の強さがイメージしやすいよう、風速10m/s以上の風を4段階の強さに分類しています。ただ、風速10m/sとは、市町村によっては強風注意報の基準になるほどの強さの風です。
そのため、ここでは防災的な観点に加えて、日常生活での影響も考慮した風の強さの目安をまとめました。
なお、【 】の中は、風速を基準として気象庁が定めている風の強さの呼び方です。
・風速0.3m/s未満【静穏】
風が穏やかな状態です。工場などの煙がまっすぐにのぼります。
・風速3m/s〜5m/s程度
葉っぱや小枝が揺れるくらいの風です。
・風速5m/s〜7m/s程度
砂ぼこりが立ち、落ち葉が宙を舞うくらいの風です。
・風速10m/s以上15m/s未満【やや強い風】
おおむね陸上での強風注意報の基準となる風の強さです(※)。樹木全体や電線が揺れ始めます。
・風速15m/s以上20m/s未満【強い風】
電線がヒューヒューと鳴り始め、看板やトタンが外れ始めます。
・風速20m/s以上30m/s未満【非常に強い風】
風速20m/s超えは、おおむね陸上での暴風警報の発表基準です(※)。細い木の幹が折れたり、根の張っていない木が倒れ始めます。看板が落下・飛散したり、道路標識が傾くこともあります。
・風速30m/s以上【猛烈な風】
多くの樹木が倒れ、電柱や街灯で倒れるものもあります。ブロック塀が倒壊することもあります。
※暴風警報・強風注意報の基準値は、市区町村によって異なります。
風の強さと人への影響|髪や服装・歩行者や自転車で注意が必要な風速は?

風の強さと人への影響
髪や服装などに影響が出始めるのが、風速3m/s前後からです。風速3〜4m/sくらいの風が吹くと、髪が乱れ、ときどき風で帽子が飛ばされそうになることもあります。また、風速4〜5m/sくらいになると、服が乱れてスカートなどでは歩きにくいと感じます。
↓風の強さと髪の乱れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
◆【動画あり】風の強さ実験!髪はどのぐらい乱れる?風に負けないヘアセットを検証
自転車の場合は、風速3〜4m/sくらいで自転車がぐらつき、運転しづらいと感じることもあります。7m/s以上になると、風で自転車がなかなか前に進めないほどです。
風速10m/s以上になってくると、歩行者など外にいる人への影響がかなり大きくなり、防災上注意が必要なレベルになります。
「やや強い風(風速10m/s以上15m/s未満)」では、風に向かって歩きにくくなります。傘がさせないほどの強さの風です。「強い風(風速15m/s以上20m/s未満)」になると、風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出てきます。高所での作業は極めて危険です。
「非常に強い風(風速20m/s以上30m/s未満)」では、何かに捕まらないと立っていられないほどになり、飛来物によってケガをするおそれもあります。そして「猛烈な風(風速30m/s以上)」になると、様々なものが飛んできたり倒れたりするため、屋外での行動は極めて危険です。
風の強さと車の運転への影響|運転が危険な風速の目安は?

風の強さと車の運転への影響
車の場合も、風速10m/sくらいから注意が必要です。
「やや強い風(風速10m/s以上15m/s未満)」では、道路の吹き流しの角度が水平になり、高速道路運転中に、横風に流される感じがします。さらに風が強まって「強い風(風速15m/s以上20m/s未満)」になると、横風に流される感覚がより大きくなります。
「非常に強い風(風速20m/s以上30m/s未満)」にもなると、通常の速度で運転するのが困難になります。
そして「猛烈な風(風速30m/s以上)」は、走行中のトラックが横転してしまうほどの風で、車の運転は危険な状態です。
↓強風時の車の運転については、以下の記事でも詳しく解説しています。
◆「強風時に高速道路を安全に走るコツを徹底解説」
風の強さと建物への影響|どれくらいの風で建物被害が発生する?

風の強さと構造物への影響
「強い風(風速15m/s以上20m/s未満)」になると、雨戸やシャッターが揺れます。中には屋根瓦や屋根葺材がはがれるものがあり、家屋などの建物への影響が出始めます。
「非常に強い風(風速20m/s以上30m/s未満)」では、屋根瓦・屋根葺材が飛散するものがあります。また、固定されていないプレハブ小屋が移動・転倒したり、ビニールハウスの被覆材が広範囲に破れたりします。
「猛烈な風(風速30m/s以上)」にもなると、外装材が広範囲にわたって飛散し、下地材が露出するものもあります。さらに風速40m/s以上になると、住宅が倒壊したり鉄骨構造物で変形するものも出てくるなど、大変危険です。
強風や暴風が予想されているときの対策

強風時の対策と備え
<外出や屋外での活動予定がある場合>
外出時には、飛来物がぶつかったり風に煽られて転倒したりと、ケガや事故のおそれがあります。また、鉄道などの公共交通機関がストップして帰宅が困難になることも考えられます。
風が強まると予想されている時は、できるだけ外出や屋外での活動を控えましょう。また、早めに帰宅をするなどして、危険な時間帯を避けることも検討してください。
<車を運転する場合>
車の運転では、横すべりや横転などの危険が高まります。また、車のスピードが速いほど風の影響を受けやすくなります。
ハンドルをとられないようしっかりと握り、スピードを落として、できるだけ車が安定して走行できるよう気をつけましょう。
とくに風速15m/sを超えると通常の運転が困難になり始めるため、運転を控えることも検討しましょう。
<自宅内および周辺の対策>
庭やベランダなど、家の外に風で飛ばされそうなものがあれば、事前に飛ばされないようにロープなどを使って固定したり、屋内にしまったりしておきましょう。
また、家の中では、飛来物によって窓ガラスが割れることもあるため、雨戸やシャッターを閉め、窓ガラス破損防止のためにテープで補強しておくとよいでしょう。