【9月1日は防災の日】関東大震災から学ぶ教訓 災害大国・日本に生きる私たちがすべき備えとは

日本は地震だけでなく、大雨や火山噴火など、世界的にも自然災害リスクの高い「災害大国」です。あなたや家族の命と暮らしを守るために、この機会にもう一度、日頃の備えを見直してみましょう。
9月1日は「防災の日」 その由来と目的は?

「防災の日」と「防災週間」
防災の日は、地震や津波、台風、高潮などの自然災害に対する防災対策の重要性を、国民に理解してもらうための日です。政府、自治体、そして国民が、自然災害について認識を深め、備えを強化することによって、災害の未然防止と被害を軽減することを目的としています。
また、防災の日を含む毎年8月30日〜9月5日までの1週間を「防災週間」としています。こちらは1982年(昭和57年)に制定されました。
防災の日および防災週間には、国や自治体を中心に、防災知識の普及のための講演会や展示会などの行事、防災訓練などが行われます。
<その他の防災に関連した日>
「防災の日」以外にも、いくつか防災に関連した日があるのでご紹介します。
・火山防災の日(8月26日)
国民の間に広く活動火山対策についての関心と理解を深めることを目的として制定された日です。1911年(明治44年)8月26日に日本で最初の火山観測所が設置され、観測が始まったことに由来しています。この日は、国や自治体を中心に火山防災訓練などが行われます。
・津波防災の日(11月5日)
国民の間に広く津波対策についての理解と関心を深めることを目的として制定されました。安政元年11月5日に発生した「安政南海地震」の際、和歌山県を襲った津波から人々を守ったとされる「稲むらの火」の逸話にちなんでいます。この日は、全国各地で地震津波防災訓練などが行われます。
教訓となった「関東大震災」はどんな災害だったのか

関東大震災における東京駅前の焼け跡(出典:気象庁HP)
1923年(大正12年)9月1日11時58分、相模湾北西部を震源とするM7.9の地震が発生し、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県で最大震度6(※)を観測しました。東京都、神奈川県を中心に死者・行方不明者は10万人を超え、明治以降で最も被害の大きい自然災害となりました。
なお、犠牲者の約9割が、地震後に発生した大火災とその火災旋風(炎の竜巻)によるものでした。昼食の時間帯であったため、地震で倒壊した家屋の台所などから相次いで火災が発生したこと、さらに当時は10m/s前後の風が吹いていたことなどから、その火が広範囲に燃え広がったことが原因でした。加えて、多くの人が家財一式を持って避難していたため、火の粉から引火するといった事態もおきました。当時の東京市では、46時間にもわたって火災が続きました。
また、火災以外にも建物の倒壊、液状化、津波、土砂災害など、各地で大きな被害が発生しました。地震の揺れが大きかったことはもちろんですが、その後に発生した二次災害による被害が大きかったのです。
関東大震災以降、建物の耐震基準が定められ、避難先や防火の役割を担う公園の整備が進められるなど、ハード面での防災対策が強化されました。また、一般市民も防災や避難行動に関して理解を深めておくことの重要性が認識されるようになりました。
さまざまな「想定外」が起こった関東大震災は、私たちに「想定し、備えておくことの大切さ」を教えてくれています。
※当時の震度階級は震度6まででしたが、一部の地域では現在の震度7相当の揺れであったと推定されます。
日本は世界有数の災害大国!常に「自然災害」と隣り合わせ

世界の主なプレートと地震分布(出典:気象庁HP)
関東大震災をはじめ、過去、日本では地震や津波、大雨など、様々な自然災害に見舞われてきました。実は、私たちが住む日本は、世界的にみても、自然災害のリスクが多く、そして高い場所に位置しています。地震・火山・風水害とあらゆる危険性がある災害大国なのです。
①日本は地震多発地域
日本付近では、太平洋プレート・フィリピン海プレート・北米プレート・ユーラシアプレートの4つのプレートがぶつかり合っており、活発な地震活動が起こりやすい地域です。
年間平均でみると、なんと、世界で起こったM5以上の地震のうち約1割が、日本周辺で発生しています。

世界の活火山分布(出典:内閣府HP)
日本は環太平洋火山帯の一部に位置しています。世界には活火山が約1500山ありますが、その多くは環太平洋火山帯に位置しており、さらにその約1割(111山)が日本にあります。

世界の年間降水量の分布(1991~2020年の平年値)(出典:気象庁HP)
日本は、世界的に見て降水量の多い地域にあたります。年間降水量は、世界平均の約1.4倍。さらに、国土に対して山地が多く急峻な地形であるため、土砂災害や河川氾濫などが起こりやすくなっています。
世界には、地震も火山もない国が存在します。それらの国と比べると、日本は自然の恩恵を受けることができる反面、様々な自然災害が発生する可能性が高い場所です。ですから、私たちは、リスクが高い場所に住んでいるということを、理解しておく必要があるのです。
例えば、私たちは普段の生活の中で、「空気が乾燥して風邪を引きやすい時期だから気をつけよう」などといったように、健康に対するリスク管理をすると思います。それと同じように、自然災害リスクが高いところに住んでいることを踏まえて、日頃から「防災」というリスク管理をしておくことは、非常に大切なことなのです。
いつ起こるかわからないからこそ、日頃からの備えを

普段からできる自然災害への備えの一例
自然災害リスクの高い日本に住んでいるからこそ、普段から地震や風水害に対する「もしもの備え」をしておきましょう。
<普段からできる自然災害への備え>
普段からできる備えをご紹介します。
・よくいる場所のリスクと避難場所・避難経路を確認しておく
自宅や職場のある場所では、土砂崩れや洪水、浸水、津波など、どんな自然災害の危険性があるかを把握しておくことは重要です。また、自然災害の種類によって、安全な避難場所、避難経路も異なります。土砂災害、洪水、津波、高潮など、自然災害の種類ごとにハザードマップを確認し、いざという時の行動をシミュレーションしておきましょう。
・日頃から防災情報を収集する習慣をつけておく
台風や大雨の場合、事前にある程度予測することができます。日頃から天気予報や防災情報を見る習慣をつけておきましょう。あわせて、防災情報の意味や見方も確認しておきましょう。
平常時から防災に対する意識がしっかりしていると、早い段階から危険に気付けたり、いざという時も冷静で素早い判断ができるようになります。
・非常時に必要なものを普段から準備・備蓄しておく
備蓄用と持ち出し用に分けて非常用品を準備しておきましょう。
備蓄用は、自宅の電気や水道などのライフラインが止まった場合や在宅避難に備えるものです。最低3日分の食料や飲料、生活必需品の備蓄をしておきましょう。
持ち出し用は、自宅が被災してしまった時や大雨による危険が迫っている際に、避難所へ持っていく非常用持ち出しバッグです。無理なく持ち運べる重さの必要最低限のものを、両手が使えるようリュックサックなどにまとめ、すぐに持ち出せる場所に置いておきましょう。
・建物や家の中・周辺の安全対策をしておく
地震発生時の家屋の倒壊等を防ぐため、建物の耐震診断や家の周りの点検や安全対策をしておきましょう。また、室内の家具や物の転倒・落下・移動防止対策をしたり、家具のレイアウトを工夫して避難経路を確保しておきましょう。
・救急箱の準備と応急処置の仕方を知っておく
大きな災害が発生したときは、救急や病院での手当を待てない場合も考えられます。救急箱を用意しておき、簡単な応急処置はできるようにしておきましょう。
これらの備えは一度やって終わりではなく、定期的に見直したり、考えたりすることが大切です。ぜひ、毎年「防災の日」を、見直しの機会にしてみてはいかがでしょうか。