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   2016年3月3日

白酒・甘酒・桃花酒・・・あのひなまつりの思い出は、カン違いだったのでしょうか?


白いお酒に浮かぶ紅い花。めでたさ満開です

白いお酒に浮かぶ紅い花。めでたさ満開です

今日は桃の節句。「す〜こし しろざけ めされたか♪ あ〜かい おかおの 右大臣〜」(童謡『うれしいひなまつり』)。この歌が事実なら、大人の男性が少し飲んだだけで顔が赤くなってしまうなんて、白酒のアルコール分はけっこう高そうです。けれど、そもそも白酒って晴れ着姿の少女たちが飲むために作られたものなのでは? もしや子供の頃ひなまつりに飲んだ白酒は、歌とは違う飲み物だったのでしょうか?! そして桃の花との関係は・・・

3月は桃の生命力。桃花酒から白酒へ

「左近の桜・右近の橘」。もちろん天皇から見ての左右なのですね
「左近の桜・右近の橘」。もちろん天皇から見ての左右なのですね
ひなまつりの始めは『上巳(じょうし・じょうみ)の節句』といって
男女関係なく邪気を払う季節の節目の行事でした。白酒が飲まれるようになったのは、江戸時代中期になってから。
室町時代には、桃が「百歳(ももとせ)」に通じることから、酒に桃の花を浮かべた「桃花酒(とうかしゅ)」を飲む風習があったといいます。

旧暦の3月はじめは、日本人の大好きな桜が満開。それでも「ひなまつりには桜の花」とはならなかったのです。

「桃」の漢字は「木」と「兆(きざし)」。占いで焼いた亀甲の割れ目を表す象形文字です。物事の前触れや始まり、ふたつに割れるという意味から、女性の妊娠・出産と結びついたといわれます。
桃・李(すもも)・梅・杏を中国では『四種果実』といいますが、どれも漢字のパーツが妊娠・出産や母親を表しているのだそうです。桜にはそういう意味がないので、女の子の節句としては不適切とされたのでしょうか。とはいえ 桜も橘とともに「左近の桜・右近の橘」として雛壇の両側を守っています。

桃は中国では不老長寿の薬「仙人の果実」として、実・葉・枝・樹皮などあらゆる部分が漢方薬となり、神への供え物となりました。日本でも、卑弥呼の時代の遺跡などから 祭祀に使われていたと思われる大量の桃の種が発掘されています。桃は生命力の象徴、厄よけの果実だったのですね。
3月は、桃の香りで元気に過ごせそうです。

人気すぎて命が危険!! チケット制の白酒とは

向かって右側にいるこのお方。じつは赤いお顔の「左大臣」なのです
向かって右側にいるこのお方。じつは赤いお顔の「左大臣」なのです
ところで 白酒を飲んだことはありますか?
じつは、現代人で白酒を飲んでいる人は意外と少ないのだそうです。とくに「子供時代ひなまつりで飲んでいた」という方は、その思い出がカン違いである可能性大!?

白酒は、蒸したモチ米(もろみ)の飯粒をすりつぶし、麹とみりんまたは焼酎を入れ、一ヶ月くらい熟成させたもの。甘く特有の香りと濁りがあり、アルコール分も10%前後ある、立派なお酒なのです。酒税法上の「リキュール」に該当し、家庭で作ることは禁止されています。いくら昔は少々緩かったといっても子供の飲酒じたいが法律違反・・・もし合法的に家で作って飲んでいたなら、それはたぶん「甘酒」です。

白酒は江戸時代に誕生しました。中期には商店のほか「振売(ふりうり)」が天秤棒を担いで売りにきたといいます。後期になると、大きな酒店で買うのが主流に。なかでも鎌倉河岸(現在の千代田区内神田)『豊島屋』の白酒は江戸っ子の口に合い、「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」と詠われるほどの超人気店だったようです。初代店主の夢枕に 紙びなが現れて、白酒の製法を伝授したのだとか。

ひなまつりを前にした2月25日には、白酒だけを大売り出し。たくさんの人がどっと押しかけ、店は大混雑!死者が続出!! そのため店の前に矢来(やらい)を組んで、入り口で切手を販売し奥で白酒と引き換えるという方式(いわゆるチケット制ですね)にしたそうです。さらに八丁堀の同心が出向いて取り締まりにあたりますが、それでもケガ人や気分の悪くなる人が出る恐れがあり、医者を待機させたといいます。どんな味なのか興味のある方は、現在ネット販売もされているようなのでお試しになってみては。

甘酒は2種類。春を浮かべると楽しいですね

とろとろ甘酒煮てます
とろとろ甘酒煮てます
甘酒とは、水分を多めに柔らかく炊いたご飯やお粥に米麹を混ぜ、発酵させたもの。ひと晩でできるので「一夜酒(ひとよざけ)」とも呼ばれました。アルコール分1%前後で「酒」には該当せず、家庭で作ってもOKな飲み物です。
昔は水車や足踏みでついたモチ米を粥状にやわらかく炊き、麹を混ぜ、甘みを加えて6〜7時間トロ火で温めて作られました。精白した米でないためタンパク質が残り、それを麹菌が分解することで ブドウ糖とアミノ酸の固まりのような栄養ドリンクに! 甘酒が「飲む点滴」といわれる所以ですね。

甘酒は、神話の時代から自家製造されて飲まれてきたといわれています。行商で売られるようになったのは室町時代から。現在は夏の季語ですが、江戸時代前期の俳諧書では冬の季語であり、その後江戸では季節を問わず売られるようになりました。

また、酒の絞りかすである酒粕に砂糖や水・生姜などを加えて作ったものも「甘酒」と呼ばれていますね。 体が芯から温まり美容効果も高いうえ 蜂蜜やミルクを入れたり冷やして飲んでも美味しいので、今ちょっとしたブームです。こちらはアルコール分を含んでいるので、飲みすぎにはご注意を。

「桃花酒」「白酒」「甘酒」。どれも もともと、ひなまつり1日だけに限らず楽しまれてきた滋養ある飲み物でした。3月は、ドリンクに桃の花びらを浮かべて飲むのも楽しいですね。白酒・甘酒、白い乳酸菌飲料や淡い色のジュース、透明な炭酸飲料、白ワインや日本酒・・・春のおとずれに、ピンクのエネルギーをチャージしてみませんか。
<参考>
『浮世絵で読む、江戸の四季とならわし』赤坂治績(NHK出版新書)
『イラストでわかるおうち歳時記』三浦康子・監修(朝日新聞出版)

(2016年3月3日)


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