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    11年前の広島土砂災害で命を落とした市職員 「駅ビル2階へ路面電車乗り入れ」計画段階で大きな役割

    広島の街づくりに尽力しながら、2014年の広島土砂災害で亡くなった市職員がいた。
    志半ばで途絶えた想いを仲間たちが引き継ぎ、11年の歳月を経て、彼が思い描いた景色をいま多くの人が眺めている。

    路面電車が国内初「JRの駅ビル2階」へ

    8月3日、JRの駅ビル2階へ路面電車が乗り入れる日本で初めての光景が話題になった。正面や側面の通路はカメラを構えた観衆で埋め尽くされ、高揚感に包まれた。

    この中央アトリウム空間は、JR西日本と広島電鉄、広島市の3者が連携し実現。新しい広島のシンボルとなっている。

    中心的役割の市職員が災害の犠牲に…

    一方で、この景色を夢見たまま11年前の災害で命を落とした広島市職員がいる。

    2014年8月20日未明、広島市北部を中心に記録的な豪雨が発生。安佐南区や安佐北区の住宅地で大規模な土石流やがけ崩れが相次いだ。死者77人(うち災害関連死3人)、負傷者69人、住宅被害は4,700棟以上。多くの住民が就寝中に被害に見舞われた。
    当時、広島市職員だった竹内重喜さんも自宅が土石流に巻き込まれ犠牲に…。竹内さんは都市交通部長として広島駅南口の再整備に向け中心的役割を担っていた。

    無事に開業を迎えた2025年、広島市道路交通局の多久島俊彦次長は竹内さんの墓前で手を合わせた。
    「竹内さんの遺志を引き継いで、ここまで事業を安全に進めることができました。おかげさまでありがとうございました」

    3者連携をまとめた想いを未来へ

    後になって、多久島次長が古い資料から知ったことがある。
    本来なら2014年9月1日に、JR西日本・広島電鉄・広島市3者の代表で基本方針を記者発表するはずだった。竹内さんはその調整に尽力していたのだ。
    しかし、発表直前にあの災害が起こった。予定していた発表は「資料提供」という形で紙面のみで行われたという。

    多久島次長はこう振り返る。
    「2014年に基本合意して、そこから3者が連携して一緒にいいものを作っていきましょうとスタートした。それぞれに会社の立場があり、同じ方向を向くための調整は大変だったと思う。順調にここまで来られたのは、3者をまとめた竹内さんの役割が大きかった」
    竹内さんが整えた下地のもと、担当者たちは力を結集して事業を進めてきた。

    路面電車が駅ビル2階へ乗り入れる「駅前大橋ルート」の開業は一つの大きな節目となったが、広島駅南口の全体完成は2029年春を目指していて今後もペデストリアンデッキや大屋根などの整備が続く。
    「しっかり街づくりを進めていくことが、竹内さんの想いに応えることにもなる」と多久島次長。広島の未来は、いまも彼の遺志に支えられている。

    (テレビ新広島)

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