ラマダン(断食)時期、イスラム教徒の食生活って?
2016年06月06日
お祝い事であり、大切な宗教行事でもあるラマダン
預言者ムハンマドが神からの啓示を授かった、神聖な月とされています。
このラマダン月に行われるのが「断食」。食べ物のありがたみを知る、貧しい人の境遇に思いを馳せる、忍耐強さを身に着ける、信仰心を高める……など、断食にはさまざまな意味がこめられています。
とはいえ、何も飲み食いをしないわけにはいきません。日没から夜明けまでの間に食事をするのですが、いったいどんな食生活になってしまうのでしょうか?
今回は、ラマダン・グルメ(?)のお話をお届けします。
そもそも「ラマダン」ってどんな行事?
イスラム教を信じる人びとにとって、ラマダンはお祝いごとであり、大切な宗教行事。
家族やコミュニティとの連帯を高める時期、寄付やチャリティが盛んにおこなわれる時期でもあります。
断食をするのは、何時から何時まで?
断食明けにはまずデーツ(ナツメヤシの実)を
この夜明け前にとる食事を「スフール」、日没後にとる食事を「イフタール」と呼びます。
断食が明けてすぐの食事であるイフタールには、まずは水やジュース、スープなどの水分、それに栄養価が高いデーツ(ナツメヤシの実)、ゆで卵、お菓子などの軽食などをとります。
その後で、揚げものや甘いものをふんだんに盛り込んだ豪華な食事を、家族や友人と楽しむのです。
小さな子どもや、病気の人、妊娠中の人などは、断食をしません。日没後に食べる料理を昼間のうちに調理する場合、子どもが「味見」をしたりするのだそうですよ。
日没後のビュッフェ・イベントが大人気!
観光客も楽しめるイフタール・ビュッフェ
ホテルの中庭やプールサイドなどには、アラビア風の装飾を施した「ラマダン・テント」が登場。シーシャ(水たばこ)やアラビアコーヒー、音楽の生演奏などを楽しめます。
ラマダンの時期は、お店やショッピングモールなどは夜遅くまで営業時間を延長したり、「ラマダン・セール」を開催することもあるのだとか。
ホテルなどのレストランは、外国人向けに日中も一部営業、テイクアウトメニューを用意しているところもあります。
ラマダン明けは、日本でいうお正月?
お中元やお歳暮のように、レバランに贈り物をし合う習慣もあるようですよ。
レバランに付き物の食べ物もたくさんありますが、代表例はクッキーのような焼き菓子。
たくさん作って家族で食べたり、お客さまをもてなしたりします。
ヨルダンでは、デーツの餡を包んで焼いた「マァッムール」というクッキーを。
インドネシアでは、鶏肉のココナツミルク煮や、ドドルと呼ばれる甘いお菓子を食べるのが定番だそうです。
「営業時間の変更(短縮)」など、生活への影響も多いラマダン。でも、どんな行事なのかを知っておけば、観光客でもラマダンならではの雰囲気を味わえそうです。
日本にもイスラム教徒の方々が暮らしています。まずは身近な「食べ物」を知ることで、異文化に接してみるのもいいですね!
参考:「るるぶドバイ(2014)」(JTBパブリッシング)
サカイ優佳子・田平恵美編「ポプラディア情報館 世界の料理」(ポプラ社)
銀城康子「絵本世界の食事 インドネシアのごはん」(農山漁村文化協会)