おしゃれな国旗の代表格のようなフランス国旗。青・白・赤の3色のこの国旗デザインは、先述したとおり1790年に、フランス国籍の軍艦・商船に旗印としてつけることを通達して以来、国の旗印、つまり国旗になりました。
横じまのトリコロールは既にオランダ船の旗として存在したために、縦じまにしたといわれます。革命市民軍が帽章がパリ市の色、青と赤で(実際、現在でもパリの街の公的機関のあちこちで、「たゆとうとも沈まず」という標語と帆船の描かれた、上下青赤に染められた市章を目にすることが出来ます)、革命政権樹立後、そこにブルボン王朝の象徴である白を付け加え、「市民と王家が一致協力して新しい国家を作る」というラファイエットのスローガンをあらわすものとして三色旗が生れた、という説が有力です。
けれども、よくよく考えると、その後の現代まで続く世界を実質支配してきたアメリカ・イギリス・フランスの3国の国旗は、どれも青(紺)・白・赤の三色で構成されていますが、偶然でしょうか。これらの国に対抗する勢力として第二次大戦の枢軸国(ドイツ・イタリア・日本など)や、社会主義国(ソ連・中国など)や、イスラム諸国などが登場しますが、正義のヒーローはやはり「赤・白・青」の旗を掲げた三国であったようなイメージです。
日本のロボット系アニメでもっとも世界で有名な「機動戦士ガンダム」の主人公のボディ塗装も、青、白、赤。それまでのファンタジックなロボットアニメと一線を画して、「リアル」な戦争を描いた魁とされる「ガンダム」においても、トリコロールカラーは正義・勝者の色として活躍します。もちろん、作品中の善悪は決して割り切ったかたちで描かれてはいませんが、それでもやはり主人公側・勝者側は「トリコロール」であるという刷り込みが、生きています。このイメージは知らず知らずに私たちみんなの中にあるのかもしれません。
フランス革命以来、「人権」や「民主主義」「友愛」が幾度となく訴えられ、それを目指す人間の試みはことごとく失敗し、破壊と衝突が続いてきたのが現実です。しかし達成困難だからこそ、理念を掲げ続けることは止めてはならないことだ、ともいえます。そんな人類のジレンマが、フランス国旗ののトリコロールのはためきに見えてくるように気がします。
国連憲章テキスト