古くより「お蚕さま(おこさま)」と呼ばれ、福財をもたらす神としても信仰されてきた蚕。今、蚕が生存能力ゼロで人に頼りきりであるためかわいい、と一部でブームにもなっているようですが、こうした蚕の姿は長年の飼育で行き着いて定着した、なれの果てではなく、一代雑種で作為的にそうさせられているものなのです。逆に言えば、普通の世代交代をさせてあげれば、数世代後(蚕の世代交代からいえばわずかな期間)には蚕は飛ぶことが出来るようになる、ともいえます。九州大学の藤井博名誉教授は、成虫の中に羽ばたく力が強く、上から落とすと水平滑空する個体があることを観察し、十数世代をかけてこうした個体をかけあわせたところ、元気に飛んでいく蚕が生まれた、といいます。
それでは蚕農家が困るのかもしれませんが、よたよたと飛べない姿ではなく、元気に空に飛ばせてあげたいとも思いますね。
参照サイト
カイコ・お蚕さま:http://www3.famille.ne.jp/~ochi/kaiko/index.html
シルク豆辞典:http://web.tuat.ac.jp/~kaiko/04/Silkreport%202015%20No.40.pdf
蚕糸・昆虫バイオテック77プレスリリース クワは乳液で昆虫から身を守る